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NTCサーミスタの熱放散定数とは
2018/08/17 10:08:03

熱平衡状態でサーミスタ素子の温度を、自己発熱によって1℃上げるために必要な電力を表す定数で、サーミスタの消費電力と素子の温度上昇の比で求めます。

サーミスタの消費電力をP(mW)とすると
P=δ(Tb-Ta)から
δP/(Tb-Ta)=I2R/(Tb一Ta)

P:サーミスタの消費電力 (mW)
δ:熱放散定数 (mW/℃)
Ta:サーミスタの周囲温度 (℃)
I:サーミスタに流れる電流 (mA)
Tbサーミスタが温度上昇して熱平衡状態になった時の
サーミスタの温度 (℃)
R Tb(℃)時のサーミスタ抵抗値 (Ω)

 

 

サーミスタ規格と特性温度係数温度係数(α)とは温度T(K)における単位温度あたりの抵抗変化量を表し、(2)式より α=1/RdR/dT=-B/T2……(5)となります。

 

符号が(-)であることは温度が高くなるにつれて、抵抗値が減少することを示しています一例としてB=3390K とすると、20℃では α≒-0.04 で約4%となり、白金測温抵抗体の温度係数の約10倍の温度係数をもつことがわかります。

 

このことは、温度変化に対して抵抗値変化が大きいことを示し、微少な温度変化に対応できるすぐれた特長を有しています。

 

1975年に“サーミスタ測温抵抗体”としてJISが制定されました(JIS C 1611)これはサーミスタの素子特性、内部導線、外部導線、保護管、互換性などについて規格化しており、サーミスタセンサの規格としても有効です。

 

サーミスタは抵抗の温度係数が大きいため、広い温度幅で使用する場合、適切な抵抗値を選ぶ必要があります。サーミスタの抵抗値が数MΩ、数Ωという値では実用上問題があります。

 

このため、JISおよび社内規格は使用する温度範囲で抵抗値を選んで規格としています。また温度―抵抗特性を計算式で求めることができますので、サーミスタ回路設計に際して、大変便利です。熱放散定数熱放散定数とは、サーミスタ測温体の温度を1℃上げるために必要な電力を表しています。サーミスタも他の測温抵抗体と同様に通電によってジュール熱が発生し、サーミスタの温度が上昇します。ジュール熱が発生することを自己加熱といい、温度誤差の要因となります。熱放散定数κは、サーミスタの温度を1℃上昇させるのに必要なmW数として定義され〔mW/℃〕で表されます。 κ=W/(To-Ta)=VI/(To-Ta)……(6) To:サーミスタ温度 Ta:周囲温度 W:サーミスタ消費電力ジュール熱の発生したサーミスタは周囲温度より高くなり、素子→ガラスリード線→周囲へと熱伝導により熱が拡散して行き、κは定常状態になってから求められます。

 

 

このため熱放散定数κは素子の形状、表面積や周囲条件(たとえば静止水中、静止空気中)の違いにより変化します。一般の温度計測では、精度に対応してサーミスタに流す電流を限定し、自己加熱による誤差を無視できるように考慮する必要があります。

 

熱時定数熱時定数とはサーミスタの熱応答時間を示します。サーミスタによる温度計測は、被測温体とサーミスタが熱平衡になった時点で行うのが基本となります。被測温体の温度が常に変化している状態の温度計測では、サーミスタの熱応答時間分の時間遅れが生じます。このため熱応答時間が短いことは温度計測上重要な要因となります。この応答時間を示すものとして、時定数が定義されています。

 

サーミスタを温度TaからTu(Tu>Ta)の雰囲気中に移したとき、式(7)が成立します。 Tu-T=(Tu-Ta)exp(-t/τ)……(7) τ=H/k……(8)ここで、 T:移動後の時間tにおけるサーミスタ温度 H:サーミスタ熱容量 k:熱放散定数さらにt=τとすると T=0.632(Tu-Ta)+Ta……(9)となります。

 

(9)式はサーミスタの温度がTaからTuになるとき、TTu-Ta63.2%に達するまでの時間を表しています。一般にはこの時間τを時定数といい、サーミスタの熱応答時間を求める基準としています。JISではT(Tu-Ta)90%に達するまでの時間を応答時間として規格化しています。

 

8(%)642200040006000800010000時間(Hr)0-2-4-6-8抵抗変化率高温放置前の抵抗値No.1 9.168kΩ/0No.2 10.33kΩ/0℃抵抗変化率= ×100%Ro:初期抵抗値Rt:高温放置t時間後における抵抗値条件:高温放置温度(枯化温度) 350℃ 抵抗変化率測定温度 0Rt-RoRoNo.1No.2サーミスタ経時変化の測定経時変化測定16Thermisto

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