最も早く用いられた焼結型導電性スラリーの一つである導電性銀スラリーは、その硬化温度が低く、接着強度が高く、電気的性質が安定し、価格比が高いことから、
大部分のメーカーが機能性導電材料として銀電極NTCサーミスタチップを製造している。導電性炭素パルプ、導電性銅パルプに比べて、その良好な導電性能が注目され、
人気があり、電子工業に広く応用されている。
焼結型導電性銀パルプの普及に伴い,銀移動も引き起こされた。この現象は,直流電圧勾配が存在する湿潤環境において,銀含有導体表面に水分子が浸透して電解して
水素イオンと水素酸素イオンを形成することを指す。電場の作用下で,銀イオンは高電位から低電位に移動し,フロック状または蔓状に広がり,高低電位が接続された
境界に黒色酸化銀を形成した。銀移動はNTCサーミスタチップの使用開始後、信頼性の低下を招き、以下の危害をもたらす。
一、設備の動作異常の潜在的な危険性
電子材料のイオン移動は溶液と電位に関係する電気化学現象に起因し,金属溶解反応,拡散,電気泳動から生じる金属イオン移動反応および析出反応などに関係する。
特に高密度で組み立てられた電子機器では,材料と周囲環境の相互影響によりイオン移動が発生し,電気特性の変化を引き起こし故障の原因となる。
二、ぜつえんていこう劣化
銀イオン移動はプリント基板の絶縁性能に大きな危害を及ぼす。日本学者綱島は、フェノール紙積層プリント基板上の銀電極に250 Vの直流電圧を印加し、
40℃、90%RHの環境で24時間放置し、絶縁抵抗の劣化を試験した結果、絶縁抵抗が時間とともに減少していくことを示した。
三、災害性事件を引き起こす潜在的な要素
銀移動過程の発展に伴い,黒褐色のAg2Oは陰極側に成長し続け,陰極側で還元され続けたAgは逆に陰極から陽極に成長した。アノードからカソードへ成長させたAg2Oと
カソード還元からアノードへ移動して成長させたAgは,それらが接触しないまで回路動作は良好な安定状態を維持できた。
しかしながら、木の枝状Ag2Oと還元Agの木の枝結晶は成長し続け、それらの間が接触すると、そこに瞬間的な局所過電流(短絡電流)が発生して溶断し、絶縁抵抗は短絡が発生する
前の状態に戻る。このようにAgの還元成長と短絡溶断を繰り返すと、対応する絶縁板面が局所的に炭化し、持続的な電気短絡状態となり、永久的な破壊をもたらし、基材を燃焼させることになる。
銀移動現象に対応するため、広東愛晟電子科技有限公司は対応する新製品である金電極NTCサーマルチップを発売した。銀電極NTCサーマルチップに対して、金電極NTCサーマルチップは以下の特徴を有する。
1、高信頼性:湿った作業環境では、金電極はイオン移動を生じにくい。それに比べて、銀電極が長時間湿った作業環境で動作すると、銀移動の自然現象が発生しやすい。(上記試験に対応可能)
2、高安定性:金電極NTCサーマルチップの金ドリフト率が低く、長時間の作動抵抗値の離散性も規定範囲内に保つことができ、長期的に安定して温度モニタリングを行う必要があるシーンに適用するのに適している。
3、各種の混合設計多機能モジュールに適用する:赤外熱電炉、IGBTモジュール、サーマルプリントヘッド、集積モジュール、半導体モジュール、電源モジュールなど
4、多種の包装方式:青膜包装、トレイ包装、ばらほうそうなど。
参照データ:
電子製造情報ステーション「Agイオン移動の成長メカニズムと危害」
下一篇 : 光通信にためのNTCサーミスタチップ
次の一篇 : 高精度で高信頼性のCr-Ni-Au電極NTCチップ