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技術サポート
チップNTCサーミスタ
2018/06/13 10:06:26

チップNTCサーミスタは、まず携帯用液晶テレビパネルの温度補償用として製品化され、その後、ビデオカメラの自動焦点用モータ、ビューファインダなどの回路に使用されるようになりました。


そして、移動体通信機器のめざましい普及やPDAなどの小型携帯デジタル機器の相次ぐ登場、各種機器、回路の表面実装、小型軽量化の進展を背景に、チップNTCサーミスタに対する極小化ニーズも、0805タイプから0402タイプ、そして0603タイプに向けて高まってきました。


従来チップ構造の直面した限界


とくに、セルラ、PHSの心臓部ともいえるTCXO(温度補償型水晶発振器)やRFモジュール、液晶パネルの温度補償と内蔵されたリチウム電池パックやニッケル-水素電池パックの温度監視用ニーズが急速に高まってきました。


しかし、NTCサーミスタ素体に電極を形成した従来型単板構造のチップNTCサーミスタ(上のモデル)では、形状寸法と密接に関係する物性上の制約から、要求特性の達成とさらなる極小化を共に満足することは困難でした。


積層チップタイプ開発の技術背景
このように、チップNTCサーミスタ技術は、単板構造から積層構造へと推移してきましたが、以下、積層チップNTCサーミスタの優位性と課題を中心に、単板構造と比較しながらこれまでの弊社の取り組み成果について、説明いたします。

抵抗値とB定数の制御
NTCサーミスタは、Mn(マンガン)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)などの遷移金属の酸化物を主成分とする半導体です。2種以上の酸化物からなるさまざまな材料が開発されていますが、材料に固有の比抵抗値とB定数(温度係数)の組み合わせには制限があり、「低い比抵抗値で高いB定数」や「高い比抵抗値で低いB定数」の材料を得るのは、物性上の制限から極めて困難です。

そこで、たとえば、B定数が高い(すなわち比抵抗値の高い)材料を用いて、抵抗値の小さなチップサーミスタを得ようとした場合、素子の抵抗値Rは、



の関係式で求められますので、この例題のようにρがすでに決まっている場合は、素子の電極間寸法tをできるだけ小さくするか、電極重なり面積sを大きくする方法で素子の抵抗値Rを抑制することになります。


この操作を、単板構造のチップサーミスタで実行しようとした場合は、以下のモデルのように素体の電極間寸法t(チップの長さ寸法に該当)を短縮し(a)、さらに電極重なり面積s(すなわち接続端子面積)を広くすればいいのですが(b)、しかし周知のとおり、チップ部品には、L2.0×W1.25mm(2012タイプ)、L1.6×W0.8mm(1608タイプ)、L1.0×W0.5mm(1005タイプ)といったEIAJによる形状タイプの標準化規格があり、この規格を満足しながら1005タイプ以下の極小化ニーズに応えようとすると、接続端子を素子の長手方向の側面に付け代えたフリップタイプ積層セラミックチップコンデンサと似たa、bのような形状、電極デザインにも限界があります。




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