家電機器、住設機器、自動車機器などで使用されるガラス封止型NTCサーミスタに係り、特に、高温動作でも長期間安定した温度?抵抗特性を維持することができるように、サーミスタ素体に形成される電極層とリード線との接続に高い信頼性を持たせたものに関する。
従来の技術:近年、家電機器、住設機器、自動車機器などにおいては、負特性のガラス封止型サーミスタに加えて、正特性のガラス封止型サーミスタも用いられるようになってきているが、これらのガラス封止型サーミスタに対しては、高温での高精度化と高信頼性の実現が強く望まれている。
従来、この種の用途で使用されているガラス封止型サーミスタとしては、例えば、図2に示すように、サーミスタ素体11の対向する両面に形成された電極12にデュメットリード線13が接続され、サーミスタ素体11及びデュメットリード線13の接続部を含む先端部分がガラス14によって封止された構成のものが知られている。このサーミスタは、そのリード線の導出構造からラジアルリード型サーミスタと称されている。ここで、一般的に、サーミスタ素体11の対向する両面に形成される電極12は、Ag系、Ag?Pd系、Au系等の導電性ペーストから構成されており、又、デュメットリード線13は、前記電極12を構成する導電性ペーストと同系の固着用ペースト15によって電極12に焼付固着されている。
しかしながら、上記のような構成では、300℃程度の高温域での連続使用或いは断続使用に際し、ガラス材の強い膨張力と収縮力によって、多孔質な導電性ペーストが大きなストレスを受けてペースト内の導電性粒子間の配置、接触面積、密度の偏在など電気的特性を左右する接触状態が変化し、サーミスタとしての温度?抵抗特性が著しく変動してしまうという問題点があった。一般的に、サーミスタの抵抗変化は時間の経過とともに増大していく劣化を示す。
一方、このラジアルリード型サーミスタと同じガラス封止型であり、同様な材料と同様な製造条件で製作されるダイオード型サーミスタにおいては、電極とデュメットリード線とが固着用の導電性ペースト無しで加熱圧着により強固に接続されているため、上記のようなサーミスタとしての温度?抵抗特性の変動は非常に小さい。
このように、ガラス封止型サーミスタの中でも、ガラス封止された中に導電性ペーストがある程度以上の量が存在するサーミスタは、冷熱の繰り返し使用において電極の初期骨格が崩れ、温度?抵抗特性が変動してしまうことが明らかである。
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