様々な温度センサがあります。どんなときにサーミスタを使えばよいのでしょうか。
温度を検出するセンサには、サーミスタ、熱電対、測温抵抗体、半導体センサなどがあり、それぞれに特長があります。サーミスタは温度で抵抗値が変わる素子ですが、安価で検出感度が高いうえに室温を中心とした温度範囲をカバーします。つまり、デバイスとして汎用的であり非常に使いやすいわけで、一般の電子機器の内部で広く使われています。サーミスタが如何に高感度であるかが分かると思います。ちなみにサーミスタには大きく分けてPTCとNTCの二つがあります。TCはTemperature Coefficient(温度係数)、PとNは各々Positive(正)とNegative(負)の意味です。
つまり温度係数が正のものと負のものがあり使われる材料も異なります。PTCサーミスタは特定の温度を超えると急激に抵抗値が大きくなるデジタル的な変化をします。この性質を利用して過熱時に回路を遮断したり機器を過電流から保護したりするのに用います。これに対してNTCサーミスタは広い温度範囲で抵抗値が一様かつ滑らかに変化します。したがって温度を値として検出して制御する用途に適しています。
NTCサーミスタの具体的な応用としては、電子体温計のように直接的に温度を計るもののほか、エアコンや冷蔵庫、給湯器などの温度センサなどが挙げられます。これらの用途では、検出回路とは離れた所の温度を計るので、リードとカバーの付いたシース(sheath)タイプのものが使われます。
一方、NTCサーミスタにはもうひとつ、電子機器内部の温度センサとしての用途があります。電子回路には温度に敏感で動作温度に従った制御が必要なものが多くあるからです。例えば携帯電話では送信用のRF出力アンプや液晶ディスプレイ、TCXO(温度補償型水晶発振器)、リチウムイオン電池パックなどは何れも動作部分の温度を検知して温度に対応した制御を必要とします。こうした用途ではボード上の回路やデバイスの直近にオンボード用のサーミスタを置く必要があります。同時にこれらは小型を強く要求される機器でもあるため、最近ではチップタイプのNTCサーミスタが多用されるようになってきました。
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