サーミスタ(Thermally Sensitive Resistor)は温度変化に対して極めて大きな抵抗変化を示す抵抗器で、熱過敏性抵抗器とも呼ばれます。
温度の上昇に伴って抵抗値が減少するNTCサーミスタ(Negative Temperature Ccoefficient of Resistance)=負温度係数サーミスタと温度の上昇に伴って抵抗値が増加する
PTCサーミスタ(Positive Tempereture Coefficiene of Resistance)=正温度係数サーミスタがあり、これらを含めてサーミスタと称します。このうちNTCサーミスタは最も歴史が古くまた広い用途で大量に使われていて一般にサーミスタと言う場合にはNTCサーミスタを指します。
サーミスタとは温度に敏感な抵抗体、Thermally Sensitive Resistorを短縮させて作られた半導体抵抗です。温度の上昇に対して抵抗値が指数関数的に下がる、言わば負の温度係数を有するサーミスタを通称NTC(Negative Temperature Co-efficient)サーミスタと言われています。これとは反対に温度が上昇すると抵抗値がある決まった温度点(キュリー温度)で急激に導体から不導体に変わってしまう、いわば不連続点を有するサーミスタを一般にPTC(Positive Temperature Co-efficient)サーミスタと呼んでいます。
前者はマンガン、ニッケルの遷移金属酸化物にコバルト、アルミニューム、鉄、銅などの酸化物を混合し焼結して作られます。後者はチタン酸バリウムを主原料に微量の他元素を混合し焼結して作られます。両者とも被測定物の温度を検地して、回路側に抵抗値情報を送る受動部品です。最近90%応答という表現をされる場合もありますが、τで換算すると約2.2τになります。
Ag2Sが負の温度特性を示すことが解ったのは、今から180年ぐらい前のM.Faradyの実験ですが、今日のサーミスタに近い開発は米国のBell研究所です。同研究所はその開発製品を今日のThermistorという名称で温度補償や通信機等の実用化していました。
日本でも1950年代の後半からいくつかの会社で工業化が進み一時期ラジオが真空管方式からゲルマニュームを使用したトランジスタ方式に変わり音量の温度補償のため大量に作られました。当時は原料を混合してプレスで円板状に成型するディスク型サーミスタが主流でした。今日でも世界の多くの会社がその製法で作っています。特に大電流を流すパワーサーミスタはこの製法です。
最近は使用用途も広がり、技術も上昇してきて、他の半導体と同様に原料を混合し、純粋またはポリビニールアルコールのような液体で混ぜ合わせ、板状に押し出し成型し更に焼結しこのウェーハを元に、ICの製法と類似の加工方法で素子を作る方法が主流になってきています。またSMDタイプのサーミスタは積層構造のものが主流になってきています
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